スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | 【--------(--) --:--:--】 | Trackback(-) | Comments(-)
お題絵:03
03.涙の詰まった小瓶



20070305224743.jpg





「海は癒しの場所ではないよ、な」

 ぽそりと呟かれた台詞に、首を上げる。

「なんで?」

 だってさぁ、と素足を砂に潜り込ませて、目は遠く水平線のかなた。

「こんなに広くて大きいんだよ。それでいて深くて暗い。怖いじゃんか」

「そうかな」

 波の打ち寄せる音。白く泡立った水は砂に引き摺られて消えていく。

「でも青くてきらきらしてて、よく見れば透明で奇麗じゃん」

 金色の日は沈みかけ、遙か海面に光る影を伸ばしている。絶えなく寄せる波がそれを反射してきらきら揺れていた。

「見方によるってことか」
「そうだな」

 そのうち日が海に沈んで、真っ暗になって、そうしたらこの水面はタールみたいな淀みを持って揺れるだろう。

「俺さ」
「うん」
「昔、海に瓶流したことあるんだ。ほらよく映画とかでやるみたいにさ」
「ロマンチックだな。それで、中身は?」

 少しだけ強い波が指先を軽く濡らした。ひやりとした感覚が水と共に後退する。

「赤いビー玉ひとつ、入れといたんだ」

「ビー玉? なんでまた」

「そのころ俺ガキだったからさ、手紙とかそういうのより、ビー玉の方がもらって嬉しいだろうと思ったんだよ」

「奇麗だもんな」

 それもそうなんだけど。

「そのビー玉、俺泣いてせがんで、やっと買ってもらったもののひとつだったから」

「なるほど」

 大事な宝物をわけてあげたかったんだ?

 たくさんの涙と引き換えに、手に入れたまるい硝子を。

 幸せは分かち合うといい。たとえ自分の分が少なくなっても、欠片は別のところでふくらむから。

「誰か、拾ってくれてたらいいな」

「ああ。……でも、俺」

 でもそれはまっすぐ届くのかどうか。

「瓶に栓するの忘れてたんだ」


 深く深く沈んだ太陽は、惜しむように光を放って、暗い海の底に消えていった。

---





今日の朝3時くらいに描いた(書いた)文です。幻獣とか関係なくてごめんなさい。
話してる二人は皆様のご想像にお任せ。

うーんなんだか絵よりSSがメインになってる気がする。


このシリーズつまらなかったらすみませんー!!
スポンサーサイト


らくがき有 | 【2007-03-05(Mon) 22:53:10】 | Trackback:(0) | Comments:(2)
コメント

最後のオチが良いわ。
瓶に栓するの忘れてたとか。それじゃあ海に沈んじゃうじゃんw
とまあ本来の意味はもっと深いと思いますけどね。
このような短文って面白いですよね。人によって捕らえ方が違いますからどれが絶対というのはありませんし。
2007-03-06 火 03:30:24 | URL | 飛翼 #tHX44QXM [ 編集]

>飛翼さん
うふふふ(怪)ありがとうございます~^^*
抽象的な文が最近好きです。想像を掻き立てるのがいいなぁと思います。
2007-03-06 火 23:40:27 | URL | 卯月 #- [ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。